ラーマーヤナの中には、ラーマとラーヴァナとの熾烈な戦いのシーンにおいて、
疲れ切ったラーマを勝利に導くために、賢者アガスティヤがラーマに授けた、
『アーディッティヤ・ストーットラム』という、とても強力なお祈りが教えられています。
そのストーットラム(祈りの句の一連の集合体)の中で、
ずっと気になっていた言葉があったので、調べてみました。
このストーットラム(祈りの句の一連の集合体)は、私の白い本の中にも収録されています。
この本の原稿を書いているときには、全ての言葉と文章について、それなりに調べたと思うのですが、それでも未だずっと気になっていた言葉があったので、この度再び調べてみることにしました。
気になっていた言葉は、
अक्षय [akṣaya] と、अक्षय्य [akṣayya] です。
多くある印刷本の中には、どちらも見られます。
どちらも क्षि क्षये という動詞の原形に、यत् [yat] という प्रत्यय(接尾辞)が付加され、それなりに変化した形です。
これらの言葉の違いは、
パーニニ・スートラ 6.1.81 क्षय्यजय्यौ शक्यार्थे । で教えられている規定によるものです。
このスートラの意味を簡単に説明すると、
यत् [yat] という प्रत्यय(接尾辞)の意味が、可能を表す場合は、
यकार ダブルになる、ということです。
यत् [yat] という प्रत्यय(接尾辞)の意味が、可能を表す場合は、
यकार ダブルになる、ということです。
では、यत् [yat] には、可能を示す意味以外に、どのような意味があるのでしょうか?
यत् [yat] は、パーニニ・スートラ第三章で教えられている、कृत्याः というタイプの接尾辞で、その意味は、कर्मणि と भावे、つまり、①動詞の行いの対象・目的語と、②動詞の意味そのもの(~すること)であると、スートラ 3.4.70 で教えられています。
3.4.70 तयोरेव कृत्यक्तखलर्थाः। ~ प्रत्ययाः
कृत्य, क्त, and खलर्थ प्रत्ययs are in the sense of कर्मणि and भावे only.
3.4.70 तयोरेव कृत्यक्तखलर्थाः। ~ प्रत्ययाः
कृत्य, क्त, and खलर्थ प्रत्ययs are in the sense of कर्मणि and भावे only.
(ここにあるスートラの英訳は全て、Medhaによるものです。)
कर्मणि と भावे 以外にもकृत्याः には、さらに以下のような意味が付加されます。
3.3.163 प्रैषातिसर्गप्राप्तकालेषु कृत्याश्च । ~ लोट् प्रत्ययाः
कृत्य-प्रत्ययs are used in the sense of प्रैष (directing), अतिसर्ग (permitting), and प्राप्तकाल (proper time).
3.3.169 अर्हे कृत्यतृचश्च । ~ लिङ्
कृत्य-प्रत्ययs, तृच् and लिङ् are used in the sense of अर्ह (deserving, worthy of).
3.3.171 कृत्याश्च । ~ आवश्यक-आधमर्ण्ययोः णिनिः
कृत्य-प्रत्ययs and णिनिँ are suffixed in the sense of necessity, or obligation for debt to be repaid.
3.3.172 शकि लिङ् च । ~ कृत्यः
कृत्य-प्रत्ययs and लिङ् are suffixed in the sense of capability.
これらの意味を総合して考えてみると、
アーディッティヤ・リダヤ・ストーットラムでの意味は、
3.3.172 の、नञ्तत्पुरुष というサマーサ(複合語)するのが良いのかと思います。
アーディッティヤ・リダヤ・ストーットラムでの意味は、
3.3.172 の、नञ्तत्पुरुष というサマーサ(複合語)するのが良いのかと思います。
क्षेतुं न शक्यते इति क्षय्यः । न क्षय्यः इति अक्षय्यः , क्षेतुं न शक्यते ।
つまり、「滅びる可能性のないもの、滅び得ないもの」ということです。
क्षि + यत् 3.1.97 अचो यत् । ~ कृत्याः, 3.3.172 शकि लिङ् च । ~ कृत्यः
क्षे + यत् 7.3.84 सार्वधातुकार्धधातुकयोः । ~ गुण
क्षय्य 6.1.81 क्षय्यजय्यौ शक्यार्थे ।
ということで、白い本の最新版では、こちらの形を適用するつもりです。
ちなみに、この 6.1.81 क्षय्यजय्यौ शक्यार्थे । は、おなじみの 6.1.78 एच्योऽयवायावः । の続きもので、अय्-आदेश の変則的な用法を教えています。
普通は、ए + य् なら、何もサンディは起きませんが、このスートラによって、निपत्यते - 通常のプロセスとは離れているが、こういう形も正しい、と教えらています。
普通は、ए + य् なら、何もサンディは起きませんが、このスートラによって、निपत्यते - 通常のプロセスとは離れているが、こういう形も正しい、と教えらています。
先日参拝した、タンジャオルのブリハデーシュヴァラ寺院の夕暮れ。 |