2017年3月18日土曜日

なぜカーラカが、動詞よりも名詞よりも先に教えられなければならないのか


結論から言うと、

カーラカを理解して初めて、動詞の能動態・受動態を正しく理解でき、

動詞の能動態・受動態を正しく理解して初めて、名詞の格活用が意味を為すからです。


「カーラカは知らないけど、能動態・受動態は知ってる!」というかも知れませんが、

カーラカは、ものごとの認識を助けてくれる為の、言葉(=コンセプト)というツールです。

つまり、言葉は認識の道具ですから、

ジャムの蓋を掴むための濡れ布巾のように、あるとないとでは、

掴めているか掴めていないかの、大きな違いが出て来ます。


能動態・受動態など、当たり前で簡単なことですが、

カーラカという独立したコンセプトを把握していなければ、

名詞との関係の掴みが非常に甘くなります。


サンスクリット語を何十年も勉強していても、

これをきちんと理論的に理解し、文章読解の要や軸として捉えている人は、

ほとんどいないに等しく、(!!!特にインド人!!!)

理論的な文章読解が出来ない人の多いことに気づいたのですが、

その原因は、カーラカとヴィバクティがごっちゃになっているいるからと見ています。


サンスクリット語の動詞の接尾語は、

・ その行動の主体(カルターというカーラカ)

もしくは

・ その行動の対象(カルマというカーラカ)

を指すことが出来ます。

(行動そのものであるBhaaveはここでは割愛します。)


動詞の接尾語が行動の主体(カルタ―)を指している場合、

その動詞は「カルタリ」(能動態)となります。

動詞によって指されている(Denoteされている)カルタ―を指す名詞は、

第一格(カルタリ・プラタマー)で、

動詞によって指されていない(Denoteされていない)カルマを指す名詞は、

第二格(カルマニ・ドヴィティーヤー)で、

表現されます。



動詞の接尾語が行動の対象(カルマ)を指している場合、

その動詞は「カルマニ」(受動態)となります。


動詞によって指されている(Denoteされている)カルマを指す名詞は、

第一格(カルマニ・プラタマー)で、

動詞によって指されていない(Denoteされていない)カルタ―を指す名詞は、

第三格(カルタリ・トリティーヤー)で、

表現されます。


カーラカというコンセプト無しでは、これをきっちり教えられません。

動詞と名詞を折り目正しく教えるには、カーラカは必須です。

また、Krdantaを教える時にも、カーラカは必須ですね。

このような単語の認識の順番を、私は最初のうちにしっかり頭に刻みこむようにして教えます。

こうやって、動詞をきっちり理解して初めて、名詞の格活用の意味が正しく理解できるからです。


既存のサンスクリット語の初等教科書は、能動態ばかりを教えます。

私の意見では、能動態と受動態は、違いが分かるようにワンセットで教えるべきです。

そして既存の教え方のように、

ラーマハ、ラーマウ、ラーマーハ、、、と機械的に暗記させて、

「第一格は主語で、第二格は目的語ね~」

と最初の段階でセットしてしまうと、一生混乱から抜け出せなくなります。


私は、格活用表も、一気に覚えさせて、一気に暗唱させることに、意味が見出せません。

生徒のコンプレックスを増長するだけで、苦労の割には、実際の文章読解にはあまり役立ちません。

格(ヴィバクティ)を一段ずつ、カーラカとそれ以外の意味との繋がりを教えながら、

練習しながら教えていきます。

客観的・理性的な思考の出来る大人の、理解ベースの教え方です。


サンスクリットの新しい教授法?

私はサンスクリット文法を教える時、
動詞を教える前にも、名詞を教える前にも、
まずカーラカを教えます。

そんな教え方をする先生はあまりいないので、
「ミチカは新しいことをやっている」と言われますが、
全然新しくはありません。


パーニニはカーラカを1章で教えています。
ヴィバクティは2章、動詞と名詞の活用は、3章や4章以降です。

みんなが古い旧来のやり方と思っているのは、
19世紀前後の西洋人が考え出した新しいやり方で、
私の教え方は新しい発明でもなんでもありません。

私は古典文法システムをスートラ(メタ言語)方式でまとめた、
パーニニ文法を原文から伝統的教授法にて勉強し、
それを現代人に理解してもらえるように教えているだけです。

私は、客観的思考能力を持ち、それをさらに磨きたい大人に対して教えているのであって、機械的に暗記しさえすればいい子供に教えているのではありません。

ゆえに、いきなり、ラーマハ、ラーマウ、ラーマーハ、と暗記させたり、ブーからバヴァティをグナとか使って作らせたり(アントワンね)するやり方は、私は採用しません。
サンスクリット文法講座のビデオを再生リストにまとめました。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLLxBjTc9MJ_in2_-UeF5-cOyrCR7QDmmo

最新は、カーラカについての2回目と3回目のビデオです。

カーラカはとても大事なコンセプトですが、
それを理解するのに、特別な知識はもちろん、
サンスクリットの知識さえ必要としません。

サンスクリット文法を勉強する醍醐味は、
行動の要因(カーラカ)をきちんと理解してこそ味わえます。

サンスクリットという言語の理解だけではなく、
この世界のあらゆる現象を、特定の言語を超えた次元で理解するのに、
大切なコンセプトです。

ヴェーダーンタの理解にも重要な役割を担っています。

しかしながら、カーラカを独立して最初に教えている初等教科書は、
皆無と言っていいほど見当たりません。
これでは、せっかくパーニニが、カーラカをヴィバクティと離して独立したコンセプトとしてスートラの1章で教えているのに、台無しです。

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