ヴェーダの文化では、ダーナ(与えること)は、人間としての心の成長に欠かせない行いとして、最も尊ばれている行為のひとつです。
特に、生きるものにとって無くてはならない食べ物を、身内以外の人々に与えることは「アンナ(食べ物)・ダーナ」と呼ばれ、特に尊ばれています。
インドの伝統では、「食べ物は、持っている人が皆に分配するもの」と考えられており、現代の日本のように「食べ物は、対価を払った人しか食べれないもの」ではありません。
「自分の分を払ったのだから、払った分だけ食べる権利がある」「みんなが払わないと不公平だ」 といった現代的な考えは、後に述べますが、『全ては与えられている』という事実の認識や感謝をさせなくしているように思います。
アンナダーナをしても、しなくても、勉強会で提供される食事をお腹いっぱい頂いたら、『全ては与えられている』という事実をより実感できると思います。
食べ物だけでなく、勉強する機会も、そして最も重要な知識も、『全ては、与えられている』という事実を認識することが大事です。この事実が認識できたら、自然と感謝が生まれ、そして、与えられたものを受け取るばかりではなく、どのような形であれ、自分が与える側になろうとする気持ちが生まれます。与える側に立とうとする努力は、人間としての心成長の為に不可欠であり、人間としての心の成長は、ヴェーダーンタの理解に不可欠です。