毎朝すれ違う孔雀さん |
「ヨーガのゴール」という言葉が独り歩きしているような気がします。
まず、「人生のゴール」が明確でなければなりません。
ヨーガとはその手段です。
しかし、混乱し切った価値観の中で、何がゴールで何が手段なのかが、
ごっちゃになって分からなくなっているのが、地球上の全人類ほぼ全員です。
ヴェーダやギーター、タットヴァボーダ等の経典は、人生のゴールを明らかにするものであり、
さらに、そのゴールを得る為に必要な、24時間365日のライフスタイルも教えています。
そのようなライフスタイルを、ヴェーダーンタではヨーガと呼びます。
それは、一般的に使われているヨーガの意味ではありません。
このように、まず経典によって「人生のゴール」を明らかにし、
それを得る為の手段として、自分の人生を生きる、という姿勢がヨーガ、
という位置づけを認識せずして、
「アーサナ等のヨガのクラスの先にあるゴール」というゴール設定をしていたのでは、
どこに辿り着くか分からなくなってしまいます。
この点において、多くの人が、「ヨーガのゴール」という言葉で混乱しているように見受けられます。
「人間として生まれて来た意味・ゴール・得るべきもの」について、
真剣に考える人に対して、「それはひとつしかない、それはあなた自身です」
と教えてくれるのが、ウパニシャッドです。
タットヴァボーダは、ウパニシャッドのエッセンスをわかりやすくまとめた本です。
ウパニシャッドが教える知識を、きちんと理解できる心を育てるために、
必要な修行は、天から自分用にカスタマイズされて与えられた、
家庭や社会での、その時その場所での役割です。それを、ダルマと呼びます。
自分の身に起こる全ての出来事、自分に関わる全ての人々、
自分の中に表れる全ての感情、嫌なことも悲しみも、全ては、この宇宙の在り方の表れであり、
自分の心を宇宙サイズに大きくしてくれるために与えられた、
精神成長の為のギフトである、という理解と姿勢を持って、
日々の生活を丁寧に、自分と周りに誠実に生きていく、そのようなライフスタイルが、
バガヴァッド・ギーターなどの聖典で教えられている、ヨーガの生き方です。
ゆえに、スタジオで行われているアーサナやプラーナーヤーマ等のヨーガと、
生き方としてのヨーガを混同していると、訳が分からなくなってしまいます。
ヨーガの生き方の中で、心身の健康維持、リラックス、集中力の向上において、
必要であれば、アーサナやプラーナーヤーマ、瞑想などの、一般的にヨーガと呼ばれている
テクニックを取り入れると良いですが、
そのテクニックとしてのヨーガ=(イコール)ヨーガの生き方ではありません。
ヨーガという言葉は、ヴェーダーンタを勉強していく上で、混乱の根源となっているので、
一度、ヨーガという言葉を完全に忘れて、真っ白な心でヴェーダーンタの言葉を聴かなければ、
混乱に混乱を上塗りするだけの結果になってしまいます。