バガヴァッド・ギーターの第15章のタイトルにもなっている、
पुरुषोत्तम [puruṣottama] という言葉。
サンスクリット語文法でサマーサ(複合語)について学んでいると、
「これは、どう分解するのが良いのか?」という、
今まで湧いてこなかった疑問が湧いてきます。
KT(कर्मधारय)だと、形容詞+名詞の組み合わせなので、
उत्तमः पुरुषः उत्तमपुरुषः (KT) であるべきのように思えます。
文法用語では一人称ですね。
サンスクリット語文法では、三人称が प्रथमपुरुष(一番目の人称)と言われます。
なぜなら、言葉を使って話す意味のあるものありきで言葉は使われるべきだから。
言葉という形の प्रमाण を扱っている立場として当然の認識ですね。
最初は三人称である परोक्ष な理解でも、理解がクリアーになれば、それは अपरोक्ष である一人称単数の उत्तमपुरुषः になります。こういう話はまたヴェーダーンタのクラスで。
ここでの主題の言葉である、पुरुषोत्तम とは विष्णु の同義語です。
そういう意味では、普通名詞というよりは、固有名詞として特別に扱う方がよさそうです。
पुरुषोत्तम を辞書で引くと、पुरुषेषु उत्तमः (7T) と出て来ます。そういう意味では、普通名詞というよりは、固有名詞として特別に扱う方がよさそうです。
「人々の中にある最高の存在」というのが良いと思います。
そういう意味では、पुरुषाणाम् उत्तमः (6T) でも良いと思います。
しかし、ヴィシュヌは人間の中の一人ではないので、「最高の人」という意味ではしっくり来ませんね。
पुरुष 自体がイーシュヴァラを表す言葉ですし、उत्तम という言葉も同様ですから、
そういう意味で、形容詞+名詞の組み合わせではない、
AでありBでもある、पुरुषश्च असौ उत्तमश्च पुरुषोत्तमः
というタイプのKTにするのも良いと思います。
サンスクリット語の文法を学ぶと、こうやっていろいろ意味を探るツールが得られますね。