ओम्
श्रीगणेशाय नमः।
श्रीगुरुभ्यो नमः।
まえがき
このコメンタリーを書始めたのにはみっつの理由があります。ひとつめは、今までに勉強したヴェーダーンタの文献の復習をする為です。私の残りの人生はヴェーダーンタの勉強を続けることのみですから、これが主要な理由です。ふたつめは、近い将来パンチャダシーを教える機会に恵まれた際、テキストとして役立つものを書きたかったからです。みっつめは、パンチャダシーに興味のある人、或いはもっと一般的にヴェーダーンタに興味がある人に、パンチャダシーという文献、或いはヴェーダーンタという文献がどのようなものかを知るための紹介書になればという期待です。
ヴェーダーンタは独学することができません。ゆえに、本書は独学の為に書かれたものではありません。もし、本書を読んでみてヴェーダーンタが何を教えているのか正しく知りたいという熱意が湧いたなら、伝統的な教授法で教える私と師を同じくする先生方、もしくは私のところへ勉強しに来てください。
本書ではデーヴァナーガリーという表記法が多用されています。デーヴァナーガリーを全てローマ字表記に変換する作業に必要な時間と労力を考えれば、読者がデーヴァナーガリーを修得する時間と努力の方がはるかに少なくて済みますし、なりよりそっちの方が読者にとって確実に得るものがあります。今日において、ヴェーダーンタの文献を勉強する上で、デーヴァナーガリーは避けて通れません。デーヴァナーガリーをまだ修得していなければ、この機会に是非勉強してみてください。効率よく勉強できるテキストも発行しているのでご活用ください。
パンチャダシーの著者、विद्यारण्यमुनि
について
知識の(विद्या)森(अरण्य)と呼ばれる賢者(मुनि)という名前に表されているように、パンチャダシーの著者である विद्यारण्यमुनि は、ヴェーダーンタに限らず、様々な学問に精通した学者でした。十四世紀に शृङ्गेरी の शङ्कराचार्य に即位し、ヴェーダーンタ・アーチャーリヤとして、ヴェーダーンタに関する著書を多く後世に残しました。पञ्चदशी、दृग्दृश्यविवेकः、सर्वदर्शनसङ्ग्रहः(ヴェーダーンタを含む十六のダルシャナの紹介)、अनुभूतिप्रकाशः(主要なウパニシャッドを誰にでも勉強できるシュローカの形して再編した作品)、जीवन्मुक्तिविवेकः、उपनिषद्दीपिका、विवरणप्रमेयसङ्ग्रहः(पञ्चपादिका の टीका である विवरणम् に書かれた टीका)、बृहदारण्यवार्त्तिकसारः、अपरोक्षानुभूतिः の टीका などが知られています。
サンニャーシンとなる以前は माधवाचार्यः と言う名前で知られており、पराशरमाधवः 、कालमाधवः (どちらとも पराशरसंहिता について)、शङ्करदिग्विजयः (काव्या)、कालनिर्णयः (ज्योतिषम्)、माधवीयधातुवृत्तिः (व्याकरणम्)、अद्वैततत्त्वप्रकरणपटीयसी (स्कन्दपुराणम् にある सूतसंहिता の टीका)、जैमिनीयन्यायमाला (पूर्वमीमांसा)、वैयासिक्ययन्यायमाला (उत्तरमीमांसा)、などを著しました。また、विजयनगर 王朝の創設者ともされています。
パンチャダシーについて
पञ्चदशी (पञ्चदशानां
प्रकरणानां संहारः) とは、十五の章(अध्यायः)ではなく、十五のプラカラナと呼ばれるセクションから成る文献であるゆえに、पञ्चदशप्रकरणम् (पञ्चदश प्रकरणानि यस्य तत् ।) とも呼ばれます。プラカラナとは、ある特定の主題を扱った、独立した文献を指す言葉です。十五のプラカラナにはそれぞれ名前が付けられています。
1.
तत्त्वविवेकप्रकरणम्
2.
पञ्चमहाभूतविवेकप्रकरनम्
3.
पञ्चकोशविवेकप्रकरणम्
4.
द्वैतविवेकप्रकरणम्
5.
महावाक्यविवेकप्रकरणम्
6.
चित्रदीपप्रकरणम्
7.
तृप्तिदीपप्रकरणम्
8.
कूटस्थदीपप्रकरणम्
9.
ध्यानदीपप्रकरणम्
10.
नाटकदीपप्रकरणम्
11.
योगानन्दप्रकरणम्
12.
आत्मानन्दप्रकरणम्
13.
अद्वैतानन्दप्रकरणम्
14.
विद्यानन्दप्रकरणम्
15.
विषयानन्दप्रकरणम्
それぞれのプラカラナの名前から、十五あるプラカラナは五つごとに三つの部として分けられ、それぞれ
विवेकपञ्चकम्、दीपपञ्चकम्、आनन्दपञ्चकम् と呼ばれています。
विवेक とは、混ざり合った二つのものを分別して認識することです。विवेकपञ्चक では、सत् を असत् から分別して認識することから、विवेकपञ्चक は सत् を詳説するセクションと言えます。
दीप とは灯りのことですから、意識の光、つまり चित् を意味しています。ゆえに、दीपप्रकरणは、चित् について詳説するセクションです。
三つ目のセクションはその名の通り、आनन्द を扱っています。このように、सत् चित् आनन्द についての詳説が、パンチャダシーの十五のプラカラナを構成しています。