2024年8月3日土曜日

リシケシュのアシュラムにあるガネーシャの祠のシュローカの意味

障害物が表れたり消えたりする原理を司るデーヴァターとして、
インドの伝統ではものごとの始めに必ずガネーシャにお祈りします。

リシケシュのダヤーナンダ・アシュラムには、ガンガーダレーシュヴァラというシヴァの姿のひとつが祀られている寺院があり、その中にもガネーシャの祠があり、
そこにはこのようなお祈りの句(シュローカ)が刻まれています。

 

数あるガネーシャへのシュローカの中でも、このシュローカはそれほど一般的に知られているものではないように思います。
このシュローカは、クリプティック(暗号的)と呼ぶには大袈裟ですが、他の一般的なシュローカのように、見たまま・聞こえたままに解釈できるものではなく、ちょこっと考えなければならないように出来ているようです。面白そうなので、見て行きましょう。

यदालम्बो दरं हन्ति सतां प्रत्यूहसम्भवम् ।

तदालम्बे दयालम्वं लम्बोदरपदाम्बुजम् ॥

yadālambo daraṃ hanti satāṃ pratyūhasambhavam |
tadālambe dayālamvaṃ lambodarapadāmbujam ||


始めの方から、ガネーシャの呼び名のひとつ、「लम्बोदर [lambodara] 」という名前が聞こえますが、これは引っ掛け(?)です。

ガネーシャは、お腹が大きく出ていることから、
長い(लम्ब [lamba])お腹(उदर [udara])を持つ者(लम्बम् उदरं यस्य सः )、
लम्बोदर [lambodara] という名前でも知られています。

このガネーシャの名前と似たような響きのする言葉が幾つか並んでいますね。

पदच्छेद [padaccheda] (連音の法則を解き、単語ごとに音を切ること)をして、
各単語の活用語尾を添えてみますね。

द्-आलम्बः 1/1 दरम् 2/1 हन्ति III/1 सताम् 6/3 प्रत्यूहम्भवम् 2/1

तत् 2/1 आलम्बे I/1 दयालम्वम् 2/1 लम्बोदरपदाम्बुजम् 2/1

 

英訳もしてみました。

यस्य आलम्बः आश्रयः यदालम्बः = The protection/support of which (the lotus feet of Gaṇeśa)

हन्ति = removes

दरम् = the fear

प्रत्यूह-सम्भवम् = which is born of obstacles

सताम् = of people who follow dharma.

 

आलम्बे = I take recourse to = आङ् + लम्ब् (1A) to resort to + लट्/कर्तरि/I/1

तत् = that

लम्बोदरपदाम्बुजम् = lotus feet of Gaṇeśa

दयालम्वम् = which is the abode of compassion.